
桜吹雪
さくらふぶき / Sakura-fubuki / Falling cherry petals
風に散る花びらで、背景にしやすい代表的な花です。
意味・象徴
春・散華・華やぎもののあわれ武士道
起源・由来
江戸中期の桜図・花見文化の大衆化と連動して定着し、葛飾北斎・歌川広重の名所絵で「散る花」の図像が完成した。遠山左衛門尉景元(遠山の金さん、1793-1855)の桜吹雪の刺青は、明治期の講釈や歌舞伎『遠山政談』を通じて伝説になった。史実の景元の刺青については、若い女性の生首だったという説や、桜一輪だったという説など、諸説ある。能『桜川』『熊野』など散華を扱う曲も、この意匠の文学的な根拠である。
構図上の役割
武者・龍・般若・観音のまわりに散らすと画面が軽くなる。五弁の山桜の花弁を主題の周囲に大小・濃淡をつけて散らし、淡紅・白・薄墨で奥行きを出す。風を目に見えるようにする役目も兼ね、見切りの部分で肌へのつながりをなだらかにする。
豆知識
「桜吹雪」は和語固有の表現で、英訳の falling cherry petals は実体に近いが詩情を欠く。武士道と散り際の美学が結びつき、明治・大正期には軍人の死生観を表す意匠としても流行した。一方で「桜は薄命の象徴」として、女性や遊女のたとえにも用いられ、二つの意味を持つ意匠になっている。
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