
波
なみ / Nami / Waves
立ち上がる波頭としぶきで、和彫りの「地」を支える背景の柱です。
意味・象徴
力・荒々しさ清め・海神性人生の試練
起源・由来
日本の美術・工芸で広く使われ、龍・鯉・海獣と切り離せない。葛飾北斎『冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏』(天保2年・1831頃)が、日本風の波の形を世界的に決定づけた。爪のような波頭と抱え込むうねりは「北斎波」と呼ばれ、和彫りの波の手本になった。尾形光琳『波涛図屏風』(メトロポリタン美術館蔵)も、平面的に装飾化した波の頂点である。
構図上の役割
主題の下半身や袖下を支える、背景の柱になる。荒波を強めにすると、江戸派の彫物で映えやすい。爪状の波頭をしぶきに分解し、深い藍と白の二色濃淡で奥行きを出す。墨の太線で輪郭を取り、内側を淡墨ぼかしで埋める「捻り波」が、伝統的な技法である。
豆知識
波のうねりは筋肉の動きと連動し、肉体的な躍動感を強める役目を果たす。「波に兎」は『大日本史』にも記される謡曲『竹生島』に由来する意匠で、月夜の波間を兎が跳ねる縁起のよい文様である。葛飾北斎の波は、19世紀末のジャポニスムを経て、クロード・ドビュッシー『海』の楽譜の表紙にも使われた。日本の意匠が世界へ広まる先駆けになった。
同じカテゴリ / 額・背景カテゴリ一覧を見る →
タトゥーの意味をもっと知る