雲

くも / Kumo / Clouds

渦巻き雲・たなびく墨雲。龍や神仏の出現の舞台。

意味・象徴

天空・霊気出現・隠遁上昇志向・神聖さ

起源・由来

雲は龍の場でもあり、風神雷神の舞台でもある。古典絵画では『源氏物語絵巻』『地獄草紙』の「すやり霞」が遠近の装置として確立、平安以降の絵巻物の必須技法となった。狩野派の襖絵に多い金雲(金箔貼り)は華麗な舞台装置として機能し、歌川国芳の武者絵では渦巻く墨雲が荒々しい雰囲気を醸成する。能舞台の鏡板の松も「松に雲」の構図を背景化している。

定石の組み合わせ

(雲龍)鳳凰天狗
神仏の上部背景

構図上の役割

墨雲系は絵画寄り、装飾雲は文様化しやすい。額の上半を担当することが多い。霊芝雲(如意雲)と渦巻き雲(巻雲)の二系統があり、神仏には霊芝雲、武者・妖怪には荒々しい渦雲を当てるのが約束。淡墨と濃墨のぼかしを段階的に重ねる。

蘊蓄

易経「雲は龍に従い、風は虎に従う」が、雲と龍を結びつける思想的根拠。雲の文様化は中国・漢代の瓦当(がとう)文様に遡り、唐代に「祥雲・瑞雲」として吉兆の象徴となった。日本では仏画の天蓋雲・来迎雲(阿弥陀来迎図の雲)として宗教絵画に発達し、彫物の神仏背景に転用された。

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