タトゥーの痛みを、
正しく理解する
タトゥーは本当に痛いのか。どこが痛くて、なぜ痛むのか。どんな麻酔があり、タトゥーには何が現実的なのか。 私たちは医療機関 inklinic と連携し、医師の管理下で麻酔を扱う「麻酔タトゥー」のブランドを運営しています。その立場だからこそ、痛みを「ゼロにする」とうたうのではなく、痛みのしくみと、麻酔の現実・リスク・法律を正しく理解することを大切にしています。 医療と法律に関わるため、出典は本文と末尾に明記しています。
01 / WHERE IT HURTS
タトゥーは痛い。でも、部位で大きく違う
タトゥーは針で皮ふの「真皮」まで色素を入れる施術なので、痛みはあります。ただし強さは部位で大きく変わります。 ポイントは3つ。神経が密か/皮ふが薄いか/すぐ下に骨があるかです[1,2,3]。
最も痛い
肋骨・胸・胸骨/首・のど・鎖骨/背骨(脊椎)/手の甲・手指・手首/足の甲・くるぶし・すね/ひざの皿・ひざ裏・ひじの内側/脇・鼠径部・乳首
→ 皮ふが薄く、すぐ下に骨があり、神経が密
痛い
うなじ・首すじ/お腹(中央)/内もも/かかと
→ 神経が比較的密で、脂肪が薄い
中くらい
前腕の内側/二の腕の内側/腰(下背部)
→ 条件が中間(人によって差が出やすい)
弱い
肩・肩甲骨/太もも/お尻/背中
→ 脂肪が多く、骨が遠い
ごく弱い(痛みにくい)
二の腕の外側/前腕の外側/ふくらはぎ
→ 脂肪が厚く、神経がまばらで、骨が遠い
※ ランキングは専門的なコンセンサス(目安)で、背景の生理(神経密度・皮ふの厚み)は査読研究で裏づけられます[1,2,3]。「足の甲・くるぶし・すね」は皮ふのすぐ下に骨があり、脂肪が乏しいため痛みが強い部類です[1]。感じ方には個人差があります。
03 / REDUCING PAIN
痛みは、どう抑えられるのか
痛みへの向き合い方は、麻酔だけではありません。順番に整理すると、次のとおりです。
- 01部位とデザインを選ぶ:痛みの少ない部位や、線が軽いデザインを選ぶ。
- 02体調を整える:睡眠・食事をとり、前日の飲酒は控える。
- 03施術中の工夫:深呼吸・水分補給・休憩をはさむ。
- 04麻酔を使う:痛みそのものを抑える選択肢。方法や可否は医療者・アーティストに相談して決める。
04 / WHAT IS ANESTHESIA
麻酔とは何か
麻酔は、痛みの信号を一時的にさえぎる方法の総称です。体の一部の感覚を抑える局所麻酔(表面・浸潤・伝達)と、意識そのものに作用する鎮静・全身麻酔に大きく分かれます[11]。
GLOBAL CONTEXT / 世界では
痛みをやわらげる施術は、めずらしくない
タトゥー文化が根づくアメリカでは、痛みをやわらげる表面麻酔クリームの利用が広く一般的です。 タトゥー用の表面麻酔クリーム市場は北米が世界最大で、世界全体の約35%を占めるとされ、 米国の成人の約30%がタトゥーを保有すると推定されています[26]。
施術の現場でも、アートメイク(医療・美容のタトゥー)では「表面麻酔は“あれば便利”ではなく必須」と語るアーティストがいるほどで、 一般的な彫り師の多くも必要な場面に備えて常備していると報じられています。 2026年には米オレゴン州が施術者による市販の表面麻酔の使用に指針を出すなど、規制が議論されるほど日常的に使われているのが実情です[27]。
痛みを我慢するのが当たり前、ではありません。ただし日本では、効く表面麻酔は処方薬で、医師の管理下で使うのが前提です(くわしくは後述)。大切なのは、安全に配慮された環境で、自分に合った方法を選ぶことです。
05 / COMPARISON
麻酔の種類と、タトゥーでの現実性
ひと目で分かるように整理しました。結論はシンプルで、タトゥーで現実的なのは主に表面麻酔。注射を伴う麻酔は医師が関わる領域です[11,12]。

| 種類 | 行うのは | タトゥーでの現実性 | ひとことで |
|---|---|---|---|
| 表面麻酔(クリーム・ゲル) | 医師の管理下 | ◎ 主に検討される | 皮ふの浅い層に効く。効くものは処方薬で、医師の管理下で扱う |
| 浸潤麻酔(局所注射) | 医師のみ | × まれ | 施術部位に直接注射し、その範囲を確実に麻酔。注射は医行為 |
| 伝達麻酔(神経ブロック) | 医師のみ | × ほぼ無い | 神経の根元に注射し、その神経が支配する範囲をまとめて麻酔。装飾には過剰 |
| 静脈内鎮静 | 医師+全身管理 | × ほぼ無い | 眠気で不安・苦痛感をやわらげるが、痛覚は消えない(局所麻酔の併用が前提) |
| 全身麻酔 | 麻酔科医+認可施設 | △ 海外で長時間作品に事例 | 意識を完全に消す。呼吸・循環の管理が必須で重大リスク。スタジオでは行わない |
表面麻酔(クリーム・ゲル)
◎ 主に検討される- 行うのは
- 医師の管理下
- ひとことで
- 皮ふの浅い層に効く。効くものは処方薬で、医師の管理下で扱う
浸潤麻酔(局所注射)
× まれ- 行うのは
- 医師のみ
- ひとことで
- 施術部位に直接注射し、その範囲を確実に麻酔。注射は医行為
伝達麻酔(神経ブロック)
× ほぼ無い- 行うのは
- 医師のみ
- ひとことで
- 神経の根元に注射し、その神経が支配する範囲をまとめて麻酔。装飾には過剰
静脈内鎮静
× ほぼ無い- 行うのは
- 医師+全身管理
- ひとことで
- 眠気で不安・苦痛感をやわらげるが、痛覚は消えない(局所麻酔の併用が前提)
全身麻酔
△ 海外で長時間作品に事例- 行うのは
- 麻酔科医+認可施設
- ひとことで
- 意識を完全に消す。呼吸・循環の管理が必須で重大リスク。スタジオでは行わない
出典:麻酔の分類[11]/医行為と医師法[12][13]/高濃度外用麻酔の安全性[6][7]/全身麻酔の扱い[9]。
その「表面麻酔」も、じつは2種類
タトゥーで使う表面麻酔は、塗るタイミングと、効く肌の状態で大きく2つに分かれます。役割が違うので、入れ替えてはいけません。
① 下地クリーム / 施術の前・無傷の肌に
皮ふの表面には角質というバリアがあります。クリームはこの上から塗り、ラップで密封して、ゆっくり浸透させます。施術が始まる前に効かせるタイプです[20]。
② 施術中ジェル / 針で肌が破れてから
ジェルは、針で皮ふが破れて初めて奥まで届きます。逆に無傷の肌にはほとんど効きません。出血やむくみを抑える成分を含むものもあります[23]。
具体的な製品・濃度や、効かせ方・使い分けは、医師の管理下での運用に深く関わります。ここでは詳しく踏み込まず、臨床面の解説は医療機関 inklinic の記事に譲ります。
06 / 番外編:全身麻酔
「眠っている間に」は可能? 海外の現実
海外では、長時間の大型作品などで、鎮静や全身麻酔の下でタトゥーを入れる事例が実際にあります。作品が大型化・精緻化し、施術が8時間を超えることもあり、そうした背景から需要が生まれています[9]。米国麻酔科学会(ASA)は2025年6月、この流れを受けて「タトゥーの麻酔」に関する患者向けの公式指針まで公表しました[9]。
ただし、ASAの立場は明確です。「タトゥースタジオは、麻酔を受ける安全な場所ではない」。麻酔(局所・鎮静・全身)は、生体監視と救急対応ができる認可された医療施設で、麻酔科医など有資格の専門職が行うべきだとしています[9]。全身麻酔は呼吸や心拍を抑制し、合併症は生命に関わりうるからです[9]。実際に、大型タトゥーの施術中に亡くなったと報じられた事例もあります[10]。
つまり「眠っている間に」は、海外では選択肢として存在するものの、スタジオで気軽に受けるものではなく、医療体制の下で慎重に判断されるべきものです。日本では、後述のとおり麻酔は医師の領域です。
07 / DOWNSIDES
麻酔を使うと、困ることはないのか
健康面のリスクと、仕上がりへの影響の両方があります。
| 仕上がりへの影響 | 起こりうること |
|---|---|
| 出血 | 血管を収縮させる成分で減ることがある(皮膚外科で確立した効果) |
| 腫れ・むくみ | 注射麻酔や薬剤の影響で、施術部位が腫れることがある |
| 皮ふの硬さ・弾力 | 表面麻酔で皮ふが硬くなる・弾力が落ちると、針の入りに影響しうる(実務での指摘) |
| ステンシル(下絵) | むくみや表面のテカリで、下絵の転写がずれる・にじむことがある |
| インクの入り | 皮ふの状態が変わると、インクの入りや針の動きが変わりうる |
| 治癒 | 麻酔成分が治癒に与える影響は、科学的根拠がまだ十分でなく不明な点が多い |
出血
血管を収縮させる成分で減ることがある(皮膚外科で確立した効果)
腫れ・むくみ
注射麻酔や薬剤の影響で、施術部位が腫れることがある
皮ふの硬さ・弾力
表面麻酔で皮ふが硬くなる・弾力が落ちると、針の入りに影響しうる(実務での指摘)
ステンシル(下絵)
むくみや表面のテカリで、下絵の転写がずれる・にじむことがある
インクの入り
皮ふの状態が変わると、インクの入りや針の動きが変わりうる
治癒
麻酔成分が治癒に与える影響は、科学的根拠がまだ十分でなく不明な点が多い
血管収縮による出血の減少は皮膚外科で確立した効果です[16]。一方、皮ふの硬さ・むくみがインクやステンシルに与える影響は主に実務での指摘で、根拠はまだ限られます[17]。治癒への影響も研究途上です。
08 / DEEP DIVE:リドカインの「%」
「40%」「100%」って、何の数字?
市販のタトゥー用麻酔クリームには「35%」「40%」「55%」、ときに「100%」といった大きな数字が並びます。強そうに見えますが、ここに大きな誤解があります。
そもそも薬剤の「%」とは、製剤に含まれる成分の重量割合のこと。医療では意味が明確で、米FDAが市販の外用鎮痛薬に認めるリドカインは0.5〜4%です(外用鎮痛薬モノグラフ M017)[6,7]。FDAは4%を超える市販リドカイン製品を避けるよう消費者に勧告しています[6]。
ところが、TKTXなどの製品名につく「40%」「55%」といった数字は、標準化されたリドカイン濃度ではなく、ブランドの“強さ表示”にすぎません。FDAの警告書では、『TKTX … Numbing Gel 40%』という製品の有効成分がリドカイン8%と記載されています。名前の「40%」と中身は一致していません[7]。「100%」に至っては、麻酔薬として成り立たない誇大表示です。
さらにこれらは、リドカインにプリロカインやテトラカイン、アドレナリンなどを混ぜたものが多く、プリロカインやアドレナリンはそもそも市販(OTC)の有効成分として認められていません[7,18]。表示と中身が一致する保証もありません。

代表的な製品を、名前ではなく中身(実際の有効成分)で並べると、こうなります。医療用の EMLA は 2.5%+2.5% と控えめで、大きな数字を掲げる市販品の方がむしろ高濃度です。
- EMLA クリームリドカイン 2.5% + プリロカイン 2.5%医師の管理下で使う正規の医療用麻酔クリーム(処方)[19]
- Wellscaine Plusリドカイン 2.5% + プリロカイン 2.5%EMLA と同じ組成(韓国製の同等品)[19]
- TKTX「Numbing Gel 40%」実体はリドカイン 8%名前の「40%」と中身が一致しない(FDA 警告書)[7]
- TKTX「Numb」(最強をうたう製品)リドカイン 22% + アドレナリン 0.02%アドレナリンは市販(OTC)の有効成分として不可[7]
- J-CAIN クリームリドカイン 29.9%
- 〈米国OTCで許可される上限〉リドカイン 4%FDA が市販の外用鎮痛薬に認める濃度の上限[6]
09 / LEGAL(日本)
法的な注意点(日本)
日本では、麻酔は表面麻酔もふくめて医師の領域です。麻酔行為は、常に高度の医学的知識と技術を要し、患者の状態を監視して変化に対応する必要がある行為として、医行為にあたるとされています(厚生労働省「麻酔行為について」昭和40年医事第48号)[12]。注射はもちろん、アーティストが麻酔を行うことはできません。
これは「重い罪」になりえます
医師でない者が、麻酔の注射などの医行為を業として行えば、医師法第17条違反にあたります。罰則は同法第31条で「3年以下の拘禁刑(2025年6月の刑法改正前は懲役)、または100万円以下の罰金、あるいはその両方」と定められています[28,29]。これは注意指導やライセンス停止といった行政処分ではなく、前科がつきうる刑事罰です。「無資格でも少しだけなら」という軽い話ではありません。
タトゥー施術そのものは、2020年の最高裁の決定で「医行為にあたらない」とされ、医師免許がなくても違法ではないと整理されました[13]。2022年には、施術に使う針などの器具も医療機器に当たらないと示されています[14]。ただしこれらは「施術」や「器具」の整理であって、「麻酔」を認めたものではありません。
これは注射にかぎった話ではありません。表面麻酔(塗る麻酔)も、日本の法律では医行為です。医師法第17条は「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定め、その医行為とは「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為」とされています[28,30]。麻酔行為はこれにあたり、注射か表面かを問いません[12]。したがって、タトゥーで表面麻酔を用いることも医行為であり、医師(歯科領域は歯科医師)でなければ行えません。加えて、実用になる表面麻酔のクリーム(EMLAなどのリドカイン製剤)は処方箋医薬品でもあり、医師の処方・管理を離れた入手や業としての使用は薬機法(医薬品医療機器等法)にも触れえます[15,19]。市販・個人輸入の高濃度品をふくめ、「クリームならアーティストが自由に塗ってよい」わけではありません。
法令の解釈は個別の事情で変わりえます。本ページは法的助言ではありません。実際の判断は医療者・専門家にご確認ください。
10 / 3 つの視点
立場ごとに、気をつけること
受ける人へ
- ·「痛みをゼロにできる」と言う相手は信用しない。麻酔はやわらげるもので、ゼロにはできない。
- ·市販・個人輸入の高濃度麻酔クリームを自己判断で使わない。最悪は命に関わる全身中毒。「強い%」ほど危険。
- ·医師がいない場所で麻酔(注射はもちろん、表面麻酔も)を勧められたら断る。違法かつ危険。
- ·持病・アレルギー・服薬は必ず申告する。隠すと重大な事故につながる。
アーティスト・スタジオへ
- ·麻酔の注射は医行為。無資格で業として行えば医師法違反の刑事罰(前科がつきうる)。「少しだけ」も不可。
- ·表面麻酔も医行為(医師の領域)。効く表面麻酔クリーム(EMLA等)は処方箋医薬品でもあり、自分で入手・常備・塗布するのは医師法・薬機法に触れうる。市販・個人輸入の高濃度品も同じ。
- ·「クリームなら塗ってよい」は誤り。表面麻酔を用いること自体が医行為で、医師の領域。
- ·客に求められても、医師の管理下でなければ麻酔を“サービス”として付けない。皮ふの変化(硬さ・むくみ・出血)が仕上がりにも影響する。
医療者との連携
- ·麻酔の適応・可否・中止は、最終的に医師が判断する領域。スタジオの判断で代替しない。
- ·体質・持病・アレルギーの評価、量と範囲・時間の管理、急変時の対応ができてはじめて、高濃度の表面麻酔も“管理されたリスク”として扱える。
- ·だから私たちは麻酔を医療から切り離さない。inkly Tattoo Tokyo は医療機関 inklinic と連携し、医師の管理下でのみ麻酔を扱う。
FAQ
よくある質問
Q01タトゥーの麻酔で、痛みは完全になくなりますか?
完全にはなくなりません。タトゥーで主に検討される表面麻酔が効くのは皮ふの浅い層が中心で、針はその下まで届くためです。「なくす」ではなく「やわらげる」もので、効き方には個人差があります。
Q02いちばん痛い部位・痛くない部位はどこですか?
皮ふが薄く骨に近い部位(肋骨・胸・首・手の甲や手指・足の甲・くるぶし・すね・肘ひざ・脇腹など)は痛みが強い傾向です。逆に、脂肪が多く神経がまばらな二の腕の外側・太もも・肩・ふくらはぎは比較的痛みにくいとされます。あくまで目安で、個人差があります。
Q03アーティストが麻酔の注射をしてくれることはありますか?
いいえ。注射による麻酔(浸潤・伝達・静脈内鎮静・全身)はいずれも医行為で、医師(歯科領域は歯科医師)でなければ行えません。医師でない者が業として行えば医師法第17条違反にあたり、罰則は同法第31条で『3年以下の拘禁刑(旧・懲役)または100万円以下の罰金、もしくはその両方』と定められた刑事罰です。行政処分ではなく、前科がつきうる重いものです。
Q04麻酔クリームなら、アーティストが用意して塗ってくれますか?
クリームも、注射と同じく医師の管理下が前提です。そもそも表面麻酔を用いること自体が、日本の法律では医行為(医師の領域)にあたります。加えて、タトゥーで実用になる表面麻酔クリーム(EMLAなどのリドカイン製剤)は、添付文書に「医師等の処方箋により使用すること」と書かれた処方箋医薬品で、入手・使用は薬機法の対象でもあります。アーティストが自分の判断で用意・塗布してよいものではありません。当メディアは医療機関と連携し、医師の管理下で表面麻酔を扱える体制を整えています。
Q05市販の「タトゥー用麻酔クリーム」を自分で使ってもいい?
高濃度の製品には注意が必要です。米FDAは2024年、許可濃度(0.5〜4%)を大きく超えるリドカイン製品をタトゥー向けに売っていた複数社へ警告しました。過剰に吸収されると不整脈・けいれん・呼吸困難など全身の中毒につながりうるためです。自己判断で使わず、医療の知見がある場で相談してください。
Q06全身麻酔でタトゥーを入れられますか?
海外では、長時間の大型作品などで全身麻酔・鎮静下の施術が行われる例があり、米国麻酔科学会も患者向け指針を出しています。ただし同学会は『タトゥースタジオは麻酔を受ける安全な場所ではない』とし、麻酔は認可施設で麻酔科医など専門職が行うべきだとしています。日本では、麻酔は医師の領域です。
Q07麻酔を使うと、タトゥーの仕上がりに影響しますか?
影響しうると考えられています。出血や腫れが抑えられることがある一方、皮ふが硬くなったりむくんだりすると、下絵(ステンシル)の転写やインクの入りに影響することがあります。治癒への影響は、科学的根拠がまだ十分ではありません。
CHECKLIST
麻酔を考えるときの、確認リスト
- 「痛みをゼロにする」ものではないと理解している
- 自分の入れたい部位の痛みの目安を知っている
- 持病・アレルギー・服用中の薬を施術側に伝えた
- 市販の高濃度麻酔クリームを自己判断で使っていない
- 麻酔の可否・方法を、医療者またはアーティストに相談した
- 注射の麻酔は医師しか行えないと知っている
参考文献・出典
- [1]Tattoo Pain Chart(部位別の痛みの一般的傾向と三要因=神経密度・骨への近接・皮膚の薄さ), Healthline(専門コンセンサスの二次情報) リンク
- [2]Corniani G, Saal HP. “Tactile innervation densities across the whole body.” J Neurophysiol 124(4):1229-1240(2020)。触覚求心線維の約15%が手のひら・約19%が顔/唇に集中、神経密度が空間分解能と相関 リンク
- [3]“Effect of age and anatomical site on density of sensory innervation in human epidermis”(PMID 12437450)。表皮の感覚神経密度は部位で有意差 リンク
- [4]侵害受容器とAδ/C線維(Aδ=有髄・速い一次痛、C=無髄・侵害受容器の多数・遅い二次痛), Brain 144(5):1312(2021)ほか リンク
- [5]Wojdyło et al. “Pain perception during tattooing.” Int. J. Environ. Res. Public Health(2020, n=1,092)。施術前の鎮痛薬使用と痛みの関連は逆因果で説明(著者見解) リンク
- [6]U.S. FDA「FDA Warns Consumers to Avoid Certain Topical Pain Relief Products…」(2024)。高濃度外用麻酔の全身吸収リスク警告 リンク
- [7]U.S. FDA Warning Letter: TKTX Company ほか(2024)。許可濃度0.5〜4%を超える製品(例:22%・29.9%)をタトゥー向けに販売した6社へ警告 リンク
- [8]局所麻酔薬中毒(LAST):中枢神経症状が初発で最多(約80%)、約1/3が心血管系へ進展。StatPearls(NCBI Bookshelf) リンク
- [9]American Society of Anesthesiologists「Anesthesia for Tattoos」患者向け指針・チェックリスト(2025年6月)。『スタジオは麻酔の安全な場所ではない』ほか リンク
- [10]大型タトゥー施術中の死亡が報じられた事例(注意喚起), Men's Journal リンク
- [11]静岡市立静岡病院 麻酔科「麻酔方法の種類」(医療機関資料) リンク
- [12]厚生労働省「麻酔行為について」(昭和40年7月1日 医事第48号、通知)。医師でない者の麻酔行為は医師法等に違反 リンク
- [13]最高裁判所 令和2年9月16日決定(タトゥー施術と医師法第17条「医行為」) リンク
- [14]厚生労働省「タトゥー施術行為に使用される機械器具について」(令和4年 薬生監麻発第428001号) リンク
- [15]リドカイン(医療用医薬品=処方箋医薬品。効能に浸潤・伝達・表面麻酔)添付文書情報 リンク
- [16]epinephrine in dermatologic local anesthesia(血管収縮による止血・作用延長), Journal of the American Academy of Dermatology リンク
- [17]Xtreme Inks「Interactions Between Tattoo Ink and Topical Anesthetics」(実務情報) リンク※ 査読を経ていない実務・業界情報。今後の研究で評価が変わりうる。
- [18]「FDA Issues Letters to 6 Companies for Unapproved, Misbranded OTC Analgesic Products」Pharmacy Times(2024、二次報道)。製品名の表示と実際の有効成分・OTC規制の関係を整理 リンク
- [19]EMLA® Cream(lidocaine 2.5% and prilocaine 2.5%)添付文書, U.S. FDA(NDA 19-941)。リドカインとプリロカインを1:1で含む共融混合物(医療用)。Wellscaine Plus・ラクサール など各国の同等品も同じ2.5%+2.5%組成 リンク
- [20]局所麻酔の皮膚への浸透は角質層(stratum corneum)のバリアに妨げられ、クリームは密封(occlusion)でラップ密封すると浸透が高まる, “Percutaneous dermal drug delivery for local pain control”(査読)。EMLAは60分で深さ約3mm・120分で約5mm リンク
- [21]TattooNumbx 公式の使用方法(無傷の肌に2mm厚で塗りラップで90分密封、約30分で効き始め3〜5時間持続)。有効成分の濃度は公式ページに明記なし リンク※ 販売元情報。成分・濃度の第三者検証はない。
- [22]Biotouch Instant Numb(表面麻酔クリーム。販売元表示でリドカイン約11%、マイクロブレーディング等の美容施術前に使用) リンク※ 販売元情報。査読・公的検証ではない。
- [23]TKTX MID PROCEDURE GEL 製品表示(リドカイン6%+テトラカイン3%+アドレナリン0.2%)。針で破れた皮膚に施術中に使うジェルで数分で効くとされ、無傷の肌に下地クリームを上塗りしない旨を明記 リンク※ 販売元情報。表示と中身の一致は保証されない。
- [24]TAG #45 製品情報(リドカイン4%+アドレナリン0.04%、テトラカイン無配合)。1998年から破れた皮膚用として販売され、『閉じた/無傷の皮膚には無効』と明記 リンク※ 販売元情報。
- [25]アドレナリン配合の外用麻酔ジェルによる全身性エピネフリン中毒の症例報告, “Epinephrine-Containing Topical Anesthetic Gel Inducing Systemic Epinephrine Toxicity: A Case Report”(査読) リンク
- [26]Tattoo Numbing Cream Market(タトゥー用表面麻酔クリーム市場), Credence Research。北米が世界最大シェアで世界の約35%を占め、米国の成人の約30%がタトゥーを保有と推定 リンク※ 市場調査会社による推計。査読・公的統計ではない。
- [27]“Oregon Health Authority says tattoo artists can’t use topical numbing creams, sprays”, OPB(Oregon Public Broadcasting, 2026年4月10日)。表面麻酔が施術現場で広く使われ、アートメイクでは『必須』との声、多くの彫り師が常備していると報道 リンク※ 報道(一次調査ではない)。
- [28]医師法(昭和23年法律第201号)第17条「医師でなければ、医業をなしてはならない」、第31条第1項第1号(違反は3年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、又は併科), e-Gov法令検索 リンク
- [29]法務省「拘禁刑の創設」。懲役・禁錮を廃止し拘禁刑を新設、令和7年(2025年)6月1日施行。医師法第31条を含む各法の『懲役』は『拘禁刑』に置き換わる リンク
- [30]厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」医政発第0726005号(2005年)。医行為=「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為」 リンク
監修・更新情報
公開:2026.06.02 / 最終更新:2026.06.02
※ 本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療・法的助言を目的とする医療・法律アドバイスではありません。麻酔の適応や可否、法令の解釈は個別の事情で変わるため、最終的な判断は医療機関・専門家にご相談ください。薬剤の具体的な使用方法は、安全のため本ページでは扱っていません。