
流水
りゅうすい / Ryūsui / Flowing water
なだらかな曲線で水面を描く文様で、清浄と魔除けの意味を兼ねます。
意味・象徴
清浄・時間の流れ災厄を流す(魔除け)光琳水の系譜
起源・由来
平安絵巻『源氏物語絵巻』『信貴山縁起』にも見える、古典的な水の表現が源流である。近世の工芸や小袖の意匠としてよく使われ、鑑賞用の絵画では尾形光琳(1658-1716)の「光琳水」が代表的である。光琳水は、水の流れを太い波状の輪郭線と内側の細い渦巻きで装飾的に表した型である。光琳の『八橋蒔絵螺鈿硯箱』(国宝・東京国立博物館蔵)に典型的な例がある。京友禅・加賀友禅の小袖意匠としても定着し、和彫りに転用された。
構図上の役割
花・鯉・菊・紅葉・蓮・観音の足元に使いやすい背景である。荒い波と違い、なだらかな曲線で主題を「流す」飾りの役割が本質である。淡墨と藍を主体に、白抜きで渦巻きを起こす。
豆知識
光琳水は、江戸後期の友禅染・蒔絵・染付陶磁を経て、19世紀末のアール・ヌーヴォーに影響を与えた。グスタフ・クリムトの装飾的な水の流れにも、その影響が表れている。和彫りでは主題に動を与える「波」と、静けさを添える「流水」を彫師が意図的に使い分ける。
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