
桜
さくら / Sakura / Cherry blossom
もののあわれ、散り際の美学。武士道精神の象徴。
意味・象徴
精神の美・儚さ武士道・散り際の覚悟華やぎ・繁栄
起源・由来
『古今和歌集』『新古今和歌集』以来、桜は和歌・物語文学の中心花材で、吉野山の山桜と西行の「願はくは花の下にて春死なん」(『山家集』)が日本人の桜観を決定づけた。江戸時代に徳川吉宗の享保期改革で隅田川堤・飛鳥山に桜が植えられ、花見が庶民化。葛飾北斎・歌川広重の名所絵で桜の図像が大衆化した。武家の散り際美学と結びつき「花は桜木、人は武士」(『仮名手本忠臣蔵』)と称えられた。
構図上の役割
単独を大きくとるより、吹雪・散らしとして主題の周囲に散らすと映える。和彫りでは八重桜ではなく五弁の山桜が定型で、淡紅〜白の濃淡で奥行きを作る。武者・龍・般若の背景に流すと「儚さ」と「武」の対比が際立つ。
蘊蓄
「花は桜木、人は武士」の言は『仮名手本忠臣蔵』九段目に登場し、武士道精神と桜の結合を文学的に決定づけた。紅葉と同居させないのが原則(春秋同画を避ける美学)だが、能装束や友禅では「春秋柄」として意図的に混在させる例外もある。本居宣長「敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花」は近代以降の桜観を強く規定した。
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