風

かぜ / Kaze / Wind lines

目に見えない風を線や草木の傾きで示す。

意味・象徴

変化・運動気配虎の威

起源・由来

俵屋宗達『風神雷神図屏風』(建仁寺蔵・国宝)の風神が担ぐ風袋から吹き出る風、葛飾北斎『冨嶽三十六景・駿州江尻』の旋風で飛ぶ紙片、円山応挙『雪松図屏風』の風になびく松枝など、日本絵画は風を草木や雲・しぶきの傾きで可視化する高度な技術を発達させた。能の囃子・狂言の所作も風の擬態を含む。

構図上の役割

関西の軽い見切りと相性がよい。動きを与えるアクセント装置として、見えない風そのものではなく、なびく花弁・葉・紙片・髪のなびきとして表現する。墨の細い動勢線と白抜きの軌跡で気流を示す。

蘊蓄

易経「雲は龍に従い、風は虎に従う」(雲従龍、風従虎)が、風と虎を結びつける思想的根拠。風袋で風を担ぐ図像は中央アジアのギリシャ風神様式の転入とされ、宗達はこれを和様化した。和彫りの「風」は虎・天狗・髑髏・武者の動勢を補強する不可視のリズム装置。

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