松

松

まつ / Matsu / Pine

常緑で不老長寿を表し、鶴と松、鷹と松の組み合わせで格調を出します。

意味・象徴

不老長寿・常緑節操・気品

起源・由来

中国の『論語』子罕篇の「歳寒、然後知松柏之後彫」が、松の常緑を変わらない節操に重ねた最も古い部類の言葉である。日本では『万葉集』『古事記』に、松を神木とする信仰が見える。住吉大社・高砂神社の相生の松は能『高砂』で古典となり、夫婦の長寿の象徴になった。狩野永徳『松に鶴図』、長谷川等伯『松林図屏風』(国宝・東京国立博物館蔵)が、水墨の松図の頂点である。鶴亀松竹梅の祝いの文様の中心として、工芸や婚礼の意匠に広く定着した。

定石の組み合わせ

構図上の役割

他主題を支える補助主題としての存在感が大きい。針葉の細密彫り(一束一束の墨入れ)が彫師の格を示し、幹の鱗皮は墨ぼかしで質感を出す。鶴・鷹・虎・武者・神仏の額の脇に配し、長寿と節操の格調を添える。

豆知識

「松」は「待つ」と掛ける縁起の祝言詞でもあり、能『高砂』の「四海波静かにて」の謡は、祝言の枕詞である。松竹梅の三つの縁起物は、宋代中国の「歳寒三友」(厳しい冬に耐える三つの植物)が、日本で縁起のよい組み合わせに変わったものである。八千代松・千年松・笠松など樹齢を強調する呼称が和彫りの下絵にも用いられる。

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