霞

かすみ / Kasumi / Haze

帯状のぼかし。距離感と季節の空気を作る名脇役。

意味・象徴

距離感・境界夢幻季節の空気

起源・由来

日本絵画で古くから遠景・時空転換の装置として用いられ、平安期の絵巻物(『源氏物語絵巻』『信貴山縁起絵巻』)の「すやり霞」(横に流れる帯状の霞)が古典的技法。狩野派・土佐派の襖絵では金霞(金箔・金泥)として華麗な装飾に転化し、長谷川等伯『松林図屏風』の墨霞は東洋絵画の最高峰の余白表現とされる。春霞・秋霞・夜霞と季節別の呼び分けがある。

定石の組み合わせ

(秋華霞菊龍)
花鳥
見切り付近

構図上の役割

胸・脇の見切り付近で場面転換に便利。古典背景の重要な名脇役。墨の段階的ぼかしで実体を曖昧化し、主題と背景の境界をなだらかにつなぐ。和彫りでは「見切りを霞で逃がす」ことで皮膚の境目を自然に隠す機能も持つ。

蘊蓄

「霞」と「霧」は科学的には同じ現象(水蒸気の浮遊)だが、和歌・俳諧では春の白いものを霞、秋の冷たいものを霧と呼び分ける季語の規約がある。彫迫『秋華霞菊龍・不動明王』のように、季節を限定する装置として霞を使うことで、主題に物語的時間軸が生まれる。

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