数年で薄くなるエフェメラルタトゥー、日本で受けられるスタジオ
米国発のエフェメラルタトゥーは、生体吸収性ポリマーでコーティングされた色素を用い、1〜3年で自然に消えるよう設計されたインクです。現在は日本の正規代理店を通じてインクが供給され、取り扱いスタジオが各地に広がっています。仕組みと現状、施術できるスタジオを都道府県別にまとめました。

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1. エフェメラルタトゥーの仕組みと色素の科学
エフェメラルタトゥーは、生体吸収性ポリマーで色素粒子を包んだ専用インクを真皮層に注入する施術です。コーティングに使われるのはポリ乳酸(PLA)やポリカプロラクトン(PCL)といった素材で、これらは医療用縫合糸などにも用いられてきた実績があります[8,10]。時間の経過とともにコーティングが加水分解されて崩れ、内部の色素粒子が小さくなることで免疫細胞が貪食し、体外へ排出される仕組みです[2,10]。
包まれている色素自体は新規の化学物質ではなく、食品や医薬品、医療機器の分野で使用実績のあるカラーアディティブが採用されています[10]。従来のタトゥーインクが真皮に半永久的にとどまる前提で設計されているのに対し、エフェメラルは「消えること」を前提に粒子のサイズや構造を組み直した点が特徴といえます[2,8]。
近年は次世代の自己除去型インクの研究も進んでいます。たとえばポリビニルピロリドン(PVP)でカーボンブラック粒子をコーティングし、加水分解と分散によって自然に薄まる仕組みを検討した研究が2025年に報告されました[7]。エフェメラルは商用化された最初の例ですが、後続の素材開発は研究レベルでも継続しています。
2. 「9〜15か月」から「1〜3年」へ、Ephemeral社の軌跡
Ephemeral Solutions社はニューヨーク大学などの研究をベースに2014年前後から開発が始まり、2021年にブルックリンで最初のスタジオを開きました[1]。当初はロサンゼルス、サンフランシスコ、ヒューストン、アトランタ、ワシントンD.C.などへ直営店を広げ、メディアからは「時間とともに薄くなる入れ墨」として大きな注目を集めています[1,24]。
ただし運用が進むにつれて、当初公表されていた「9〜15か月で消える」という説明より長く残るケースが目立つようになりました[22]。同社は表現を「1〜3年」へ修正し、消失期間に個体差があることを明示するようになっています[22]。色素量や注入深度、部位、体質によって結果がばらつく点は、利用者と運営側の双方にとって難しい課題でした[2,22]。
2023年9月、Ephemeralは米国の直営スタジオを全店閉鎖し、サンフランシスコのバレンシア・ストリート店も同時期に営業を終えています[3,4]。以後は自社運営の直営モデルから、外部スタジオへインクを供給するB2Bモデルへ転換し、日本を含む各国の正規代理店経由でインクと施術が提供されています[3,6]。
3. 日本における流通と取り扱いスタジオの広がり
日本では、米Ephemeral Solutions社の正規代理店(tattoo-japan.com)がインクの輸入と流通を担っています[6]。代理店は取り扱いアーティストへの研修と供給を行い、取り扱いスタジオ以外がEphemeralインクを扱うことはできません[6,28]。
2021年時点で書かれた個人ブログでは、東京や大阪を含めて国内に取扱店がなく、当時は海外渡航しなければ施術を受けられないという状況が紹介されていました[29]。その後、日本代理店の発足を経て国内のアーティスト網が整備され、現在では大阪、福岡、東京、埼玉、愛媛に取り扱いアーティストが在籍しています[5]。
正規代理店の公式サイトには取り扱いアーティスト一覧が掲載され、所属スタジオや得意なスタイルを確認できます[5]。代理店の公式インスタグラムでも新規スタジオの情報や施術事例が随時更新されており、最新の取扱状況を追うにはこの2つが基本の情報源になります[5,28]。
4. 国内の主要な取り扱いスタジオ
正規代理店の公式アーティスト一覧[5]に掲載されているスタジオの中でも、施術実績や情報発信を継続している代表的な拠点をまずは確認しておくと、希望デザインや所在地に応じた相談先を絞り込みやすくなります[5,28]。地域別の詳細は次節以降にまとめますが、ここでは全国の主要スタジオを横断的に紹介します。
東京・inkly Tattoo Tokyo(@inkly_tattoo_tokyo):御徒町駅徒歩2分の上野エリアに位置する予約制スタジオで、公式LINEからの問い合わせに対応し、麻酔クリームの使用にも対応しています[5,28]。
東京・「130」TATTOO STUDIO【akira✿meru】(@akira_tattoo_meru):akira/meru の2名体制で運営される取り扱いスタジオで、InstagramのDM経由で予約相談を受け付けています[5,28]。
東京・THE F1RST TATTOO(@the_f1rst_tattoo):江東区亀戸の路面店として活動する取り扱いスタジオで、Instagramからの問い合わせに対応しています[5,28]。
東京・natural body art 208(@bodyart208):国分寺市を拠点とする取り扱いスタジオで、Instagramに記載されている公式LINEから予約・相談を受け付けています[5,28]。
大阪・Artworksalon 鱗組(@urocogumi.tattoo):関西の中心拠点として、エフェメラルの仕組み・施術可能部位・推奨デザインや消失期間の目安を公式FAQページで公開しています[5,23]。
福岡・moi moi(@tattoo_moi_moi):福岡市内のスタジオとして、InstagramのDMから予約・相談を受け付けています[5,28]。
福岡・tattoo salon zen(@tattoo_salon_zen):福岡市博多区に拠点を置く取り扱いスタジオで、予約や詳細案内はInstagramのDMから受け付けています[5,28]。
福岡・MOON ANGEL(@moonangel_tattoo_nami):福岡市博多区の取り扱いスタジオで、InstagramのDMから施術相談ができます[5,28]。
愛知・welina_tattoo(@welina_tattoo / 担当アーティスト:tomoe):名古屋市内を拠点とする取り扱いスタジオで、予約・相談はInstagramのDMから受け付けています[5,28]。
愛知・桔梗璃(@kikyori28):津島市を拠点に活動する取り扱いアーティストで、公式LINEとInstagramの双方から予約相談を受け付けています[5,28]。
沖縄・@ZERO(@tattoo_jagua.zero):那覇市牧志のスタジオで、沖縄エリアでエフェメラル施術を希望する際の代表的な相談先のひとつです[5,28]。
埼玉・蒼(@oz_ink.tattoo):草加市を拠点とする取り扱いスタジオで、所在地は予約確定時に共有される会員制スタイルで運用されています[5,28]。
北海道・彫悠(@horiyuu.tattooartist):札幌市北区屯田に拠点を構える取り扱いアーティストで、北海道エリアでエフェメラル施術を希望する際の窓口となります。予約はInstagramのDMから受け付けています[5,28]。
上記いずれも正規代理店経由でエフェメラルインクを取り扱うスタジオで、施術前にはパッチテストや希望デザインの相談を担当アーティストと事前にすり合わせる流れが共通しています[5,9,23]。
5. 大阪:鱗組Tattoo Studioと関西エリアの拠点
関西の中心となるのが大阪の鱗組Tattoo Studioです。同店はEphemeralの取り扱いスタジオで、公式FAQページにエフェメラルタトゥーの仕組みや施術可能部位、推奨デザインを詳しくまとめています[23]。細かい線や小さなデザインよりも、色素量と注入深度を確保しやすいサイズや配置が推奨される点が説明されています[23]。
鱗組のページでは、メーカーが公表してきた初期インクの目安(3年で約98%が消失)が紹介されています[23]。これはあくまで個人差を含む目安であり、施術前のデザイン相談時に判断材料の一つとして参考になります[23]。
施術事例や予約状況は公式インスタグラム(@urocogumi.tattoo)でも発信され、過去作品や退色経過の写真を確認できます[26]。日本代理店の取り扱いアーティスト一覧にも掲載されているため、関西で受ける場合の窓口として位置づけられています[5]。

6. 東京・埼玉:首都圏で受けられるスタジオ
首都圏では、東京の取り扱いアーティストが日本代理店のアーティスト一覧に掲載されています[5]。所属スタジオごとに得意とするデザインやサイズが異なるため、希望するモチーフに合わせて担当を選ぶ流れになります[5]。
埼玉では浦和の「OneToo」が取り扱いスタジオとして稼働しています[27]。看護師資格を持つ施術者によるワンポイント専門のスタジオで、衛生管理やカウンセリングの体制を打ち出している点が特徴です[27]。小ぶりなデザインに絞ることで、エフェメラル特有の色素量と消失期間のバランスを取りやすくしています[27]。
首都圏で予約可能なスタジオを探す場合は、日本代理店の公式サイトで取り扱いアーティスト一覧を確認し、各スタジオの予約窓口へ直接問い合わせる方法が確実です[5,27]。代理店のインスタグラムでも新規スタジオの追加情報が告知されます[28]。
7. 福岡・愛媛:地方都市の取り扱いスタジオ
取り扱いスタジオは大都市圏だけでなく、福岡と愛媛にも展開しています[5]。日本代理店のアーティスト一覧では、各地のアーティスト名と所属スタジオが公開されており、地方在住者でも近隣で施術を受けられる選択肢が広がっています[5]。
従来、海外発の特殊なタトゥーインクは東京や大阪に出向かなければ受けられないケースが多く、地方在住者にとっては交通費や宿泊費が負担になりがちでした。福岡・愛媛にも拠点があることで、関西や首都圏まで出る必要がない利用者層への提供が可能になっています[5]。
地方の取り扱いスタジオの最新情報は、日本代理店の公式インスタグラム(@ephemeraltattoo.jp)で随時告知されています[28]。新規アーティストの加入や対応エリアの拡大も同チャンネルで案内されるため、居住地に近いスタジオを探す際の情報源として有用です[28]。
8. 施術前に知っておきたい皮膚リスク
「消えるタトゥー」という表現は安全性の印象を与えがちですが、注入行為そのものは通常のタトゥーと同じです。米FDAは、タトゥー全般について感染症、アレルギー反応、肉芽腫、ケロイドや瘢痕の形成といったリスクがあると注意喚起しています[12]。エフェメラルもインクを真皮へ注入する以上、これらのリスクから自由ではありません[12,24]。
稀ながら、タトゥー部位に皮膚病変が生じた症例も報告されています。たとえばタトゥー部位にできた特殊なほくろの一種(スピッツ母斑、Spitz nevus)の症例報告が学術誌に掲載されており、注入された色素と皮膚反応の関係は引き続き観察対象となっています[25]。痛みや発赤、しこりが続く場合は皮膚科を受診する必要があります[12,25]。
Ephemeralの公式FAQでも、施術前のパッチテストが推奨されています[9]。代理店や取り扱いスタジオを通じて事前テストを依頼し、数日経過を見てから本施術へ進むのが安全な流れです[9,23]。

9. 日米欧で異なる規制の枠組み
米国ではFDAがタトゥーインクを化粧品の一種として規制対象に置いていますが、皮膚へ注入する色素として承認されたものは現時点で存在しません[11,13]。2022年に成立したMoCRA(化粧品規制近代化法)により、製造施設の登録や成分リスト提出、適正製造規範(GMP)の遵守が義務化されました[14,15]。FDAは2024年10月にタトゥーインクの不衛生な製造条件に関する最終ガイダンスを発出しています[13]。
欧州ではより厳格な事前規制が敷かれています。2022年1月施行のREACH規則改正により、約4,000種の有害物質がタトゥーおよびパーマネントメイク用インクで制限の対象となりました[16]。それでも市場流通品の調査では、禁止顔料が検出される例が報告されています[17]。
デンマークの研究機関が実施したタトゥーインクのベンチマーク調査では、複数の製品から発がん性や遺伝毒性が疑われる物質が検出されました[18]。欧州の規制水準に達していない製品が国境を越えて流通している実態が示されており、利用者側もインクの製造元や成分を確認する姿勢が求められます[17,18]。
10. 日本の法的位置付け:医行為か否か
日本では2020年9月、最高裁判所第二小法廷が、タトゥー施術は医師法上の医行為には該当しないとする初判断を示しました[19,20]。これは医師免許を持たない彫師の業務独占違反が争われた事件で、無罪が確定したものです[19]。日本タトゥーイスト協会もこの決定を受けて声明を出し、業界の現状を整理しています[20]。
判決の補足意見では、保健衛生上の観点から合理的な新規立法が必要であるとも指摘されました[19,20]。タトゥー施術を医療の枠外に置く一方で、衛生管理や教育の制度設計は今後の課題として残っています[20]。
アートメイクについては別の扱いとなっています。厚生労働省は針で色素を注入する眉や唇のアートメイクを医療行為と整理しており、医師または医師の指示を受けた看護師でなければ施術できないと通知しています[21]。エフェメラルを含むタトゥーとアートメイクは、法的な位置付けが明確に区別されている点を押さえておく必要があります[19,21]。
11. 「消える」前提に潜む期待値ギャップ
消失期間には個体差があり、想定より長く残ったケースが米国では訴訟や返金トラブルに発展しました[22]。Ephemeral社が当初の「9〜15か月」から「1〜3年」へ表現を改めた背景にも、利用者の期待値と実際の結果のずれがあります[22]。「消えるはず」の前提で受けたタトゥーが数年残ることは、利用者にとって大きな心理的負担になります[22]。
施術後の経過観察も重要です。医療機関では、残存色素による皮膚反応や、消失過程での色ムラについて相談を受け付けています[2]。痛みや赤みが続く場合や、消失の進み方に違和感がある場合は、自己判断せず皮膚科を受診する必要があります[2,12]。
現実的な対策は、施術前に担当アーティストとデザイン、部位、色素量、想定される消失期間をすり合わせることです[9,23]。メーカー公表の初期インクの目安(3年で約98%が消失、個人差あり)を共有し、パッチテストを経たうえで本施術に進むことで、過度な期待と実際のギャップを抑えやすくなります[9,23]。
よくある質問
- Q. エフェメラルタトゥーは本当に消えますか?
- 生体吸収性ポリマーで色素を包んだインクを真皮に注入し、加水分解で粒子が小さくなり免疫細胞に排出される仕組みです。Ephemeral社は当初9〜15か月としていた消失期間を1〜3年へ修正しており、個体差があります。
- Q. 日本のどこで施術を受けられますか?
- 米Ephemeral Solutions社の正規代理店(tattoo-japan.com)が取り扱いアーティストへインクを供給しており、現在は大阪(鱗組Tattoo Studio)、埼玉(浦和OneToo)、東京、福岡、愛媛に取り扱いアーティストが在籍しています。
- Q. 通常のタトゥーと比べてリスクは低いですか?
- インクを真皮に注入する点は同じため、FDAは感染症・アレルギー反応・肉芽腫・ケロイドなどのリスクを指摘しています。事前のパッチテストが公式に推奨されています。
- Q. 日本ではタトゥー施術に医師免許が必要ですか?
- 2020年9月、最高裁はタトゥー施術が医師法上の医行為に該当しないと判断し、彫師による施術は合法とされています。一方で針で色素を注入するアートメイクは医療行為とされ、医師または看護師でなければ施術できません。
- Q. 想定より長く残った場合はどうすればよいですか?
- 消失期間には個体差があり、米国では長期残存が訴訟に発展した例もあります。残存色素や皮膚反応の違和感がある場合は皮膚科を受診し、施術前にアーティストと色素量・部位・期間の目安をすり合わせることが推奨されます。
References
- [1]Ephemeral Tattoo(公式サイト). Ephemeral Tattoo. https://ephemeral.tattoo/(accessed 2026-05-20)
- [2]Ephemeral Tattoos Fade Away. Henry Ford Health. https://www.henryford.com/news/2023/05/ephemeral(accessed 2026-05-20)
- [3]Ephemeral Tattoo Is Closing Its Studios. Highsnobiety. https://www.highsnobiety.com/p/ephemeral-tattoo-closing/(accessed 2026-05-20)
- [4]Temporary Tattoo Place on Valencia Closes. SFist. https://sfist.com/2023/09/11/temporary-tattoo-place-on-valencia-closes/(accessed 2026-05-20)
- [5]Ephemeral 日本公式 アーティスト一覧. Ephemeral Tattoo Japan. https://ephemeral.tattoo/jp/artists/(accessed 2026-05-20)
- [6]EPHEMERAL TATTOO JAPAN(日本正規代理店). Ephemeral Tattoo Japan. https://tattoo-japan.com/(accessed 2026-05-20)
- [7]Self-removable tattoo ink based on PVP-coated carbon black nanoparticles. ScienceDirect. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2468023025017080(accessed 2026-05-20)
- [8]Made-to-fade tattoos. Chemistry World. https://www.chemistryworld.com/news/made-to-fade-tattoos/4016538.article(accessed 2026-05-20)
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- [10]How It Works. Ephemeral Tattoo. https://ephemeral.tattoo/how-it-works/(accessed 2026-05-20)
- [11]Tattoos & Permanent Makeup Fact Sheet. U.S. FDA. https://www.fda.gov/cosmetics/cosmetic-products/tattoos-permanent-makeup-fact-sheet(accessed 2026-05-20)
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- [28]Ephemeral日本代理店 公式Instagram. Instagram (@ephemeraltattoo.jp). https://www.instagram.com/ephemeraltattoo.jp/(accessed 2026-05-20)
- [29]エフェメラルタトゥーは日本で受けられる?(2021年). アルパカのタトゥー. https://alpaca-tatoos.com/archives/24886(accessed 2026-05-20)
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