
Gen 3は、2024年に登場した現行処方
エフェメラルは、時間とともに薄くなるよう設計されたタトゥーインクです。通常のタトゥーインクとの大きな違いは、体内で分解されて徐々に薄くなることを前提に作られている点にあります。2021年のサービス開始以降、インクの処方は複数回更新されてきました。現在流通しているのは、2024年に登場した現行世代のGen 3です[1]。つまり、いま施術で使われるインクと、サービス開始当初のインクは同じものではありません。
世代を区別することが大切なのは、初期世代の利用者から「当初案内された期間を過ぎても目立って残っている」という声が報道されているためです[2]。この報道は主にGen 1やGen 2の時期のもので、現行のGen 3の結果をそのまま示すものではありません。一方で、Gen 3が改善された世代であることを理由に、初期世代で起きた問題が完全に解決したと言い切ることも適切ではありません。世代ごとの情報を分けて確認する姿勢が、エフェメラルを検討するうえでの出発点になります。
Gen 1・Gen 2・Gen 3の違い
メーカー公表情報では、各世代の位置づけは次のように説明されています[1]。Gen 1は、退色期間のばらつきが大きかった初期の処方です。Gen 2は、そのばらつきを改善した世代です。そしてGen 3は、退色時期の予測性をさらに高めたうえで、施術時の扱いやすさと治癒後の線の見え方も改善した現行の処方です。世代が進むごとに、退色の予測性という一番の課題に取り組んできた流れが読み取れます。
ただし、公開情報だけでは確認できない点もあります。世代ごとに配合が具体的にどう変わったのか、改善を確かめた試験はどのような設計だったのか、何人を対象にしたのか、退色をどのような基準で評価したのか。こうした詳細は、現時点で公開されている資料からは十分に読み取れません。この記事で紹介する内容は、あくまでメーカーが公表している範囲での説明だと理解して読み進めてください。
- 時期
- 2021〜2022年
- メーカーが説明する主な特徴
- 初期処方。退色期間のばらつきが大きかった
- 現在の扱い
- 廃止
- 時期
- 2023年
- メーカーが説明する主な特徴
- 退色期間のばらつきを改善。76%が2年以内に退色
- 現在の扱い
- 廃止
- 時期
- 2024年〜
- メーカーが説明する主な特徴
- 退色の予測性、流動性、皮膚への入りやすさ、治癒後の線の明瞭さを改善
- 現在の扱い
- 現行
| 世代 | 時期 | メーカーが説明する主な特徴 | 現在の扱い |
|---|---|---|---|
| Gen 1 | 2021〜2022年 | 初期処方。退色期間のばらつきが大きかった | 廃止 |
| Gen 2 | 2023年 | 退色期間のばらつきを改善。76%が2年以内に退色 | 廃止 |
| Gen 3 | 2024年〜 | 退色の予測性、流動性、皮膚への入りやすさ、治癒後の線の明瞭さを改善 | 現行 |
Gen 3で改善したと説明されている4つの点
Gen 3の変更は、単に「より早く薄くなるようになった」という一言では表せません。メーカーは4つの点を改善したと説明しています[1]。退色時期の予測性、施術時のインクの流れ、皮膚への入りやすさ、そして治癒後の線の明瞭さです。退色そのものだけでなく、施術のしやすさや仕上がりの見え方にも手が入っているのが、Gen 3の特徴です。
インクが扱いやすくなることには、間接的な利点もあります。インクが皮膚に入りやすければ、アーティストが必要以上に同じ場所へ針を入れることを避けやすくなります。針を入れる回数が減れば、肌への負担も抑えやすくなります。ただし、実際の仕上がりや肌への負担は、施術者の技術、デザイン、部位、体質など多くの条件に左右されます。Gen 3を使えば結果が一律になる、という意味ではないことに注意してください。
01
退色時期の予測性
初期世代よりも、退色にかかる期間のばらつきを抑えることを目指した。
02
インクの流動性
施術時にインクを扱いやすくする改善。
03
皮膚への入りやすさ
施術時にインクを置きやすくする改善。
04
治癒後の線の明瞭さ
治癒した後のラインが、より明瞭に見えることを目指した。

「90%が2年以内、98%が3年以内に退色」の読み方
現行Gen 3について、メーカーは「90%が2年以内、98%が3年以内に退色」と公表しています[1]。この数字は、初期世代と比べて退色時期の予測性が改善したことを示すメーカー公表値です。ただし、個々のタトゥーが2年または3年で完全に見えなくなることを保証する数字ではありません。裏を返せば、100本のうちおよそ2本は、3年を過ぎても退色の途中である可能性が残る、と読むこともできます。
特に注意したいのは、「退色」と「完全消失」は同じ意味ではないことです。インクが大きく薄くなった状態でも、薄い色、輪郭、色素沈着、色素脱失、瘢痕などの痕跡が残る可能性があります。つまり、数字のうえで「退色した」とされる状態と、肌に何も残っていない状態は別のものです。広告やカウンセリングでは「2年で消える」と言い換えず、退色の時期と最終的な残り方には個人差があることを、必ず一緒に伝える必要があります。
90%
2年以内に退色
メーカー公表値
98%
3年以内に退色
メーカー公表値

経過画像は、期間と目的を確認して見る
Gen 3の比較画像には、大きく分けて2種類あります。施術直後と約30日後を比べたものと、より長期の経過を比べたものです。このうち約30日後の画像は、主に治癒後の線の見え方を確認するためのものです。長期的な退色や完全消失を示す画像ではありません。何を確認するための画像なのか、期間と目的をセットで見ることが大切です。
また、写真そのものにも限界があります。照明、撮影機材、肌の色、部位、デザイン、施術条件によって、同じタトゥーでも見え方は変わります。経過の一例として参考にはなりますが、自分が同じ期間で同じ結果になることを保証するものではありません。画像を見るときは、撮影された期間、部位、デザインの種類をできる範囲で確認したうえで、あくまで参考例として受け止めるのが安全です。

Gen 3でも変わらない注意点
Gen 3は改善された現行世代ですが、針で真皮へインクを入れるタトゥーであることは変わりません。真皮とは、皮膚の表面より深いところにある層のことです。そこへインクを入れる以上、感染、アレルギー、色素沈着、色素脱失、瘢痕、ブローアウトなど、タトゥーの施術に伴うリスクはGen 3でも同じように存在します。時間とともに薄くなる設計であることと、施術のリスクがないことは、別の話です。
日本で施術を検討する際は、いくつかの点を確認してください。まず、現行のGen 3を使用しているかどうかです。加えて、退色期間を保証するような説明をしていないか、肌に痕跡が残る可能性まで説明しているか、顔やアートメイク用途、広範囲の塗りつぶしを避ける運用になっているかも確認しましょう。数字や画像だけで判断せず、説明の丁寧さまで含めてスタジオを選ぶことが、後悔を減らす近道です。
よくある質問
- Q. エフェメラルGen 3は何が変わった?
- メーカーは、退色時期の予測性、インクの流動性、皮膚への入りやすさ、治癒後の線の明瞭さを改善したと説明しています。ただし、具体的な配合変更や試験設計の詳細は公開情報だけでは十分に確認できません。
- Q. Gen 3は必ず3年以内に完全に消える?
- いいえ。メーカーは98%が3年以内に退色すると公表していますが、退色は完全消失と同義ではなく、個々の結果や時期を保証する数字ではありません。
- Q. Gen 1やGen 2の事例はGen 3にも当てはまる?
- そのまま当てはめることはできません。製品世代を区別して見る必要があります。一方で、Gen 3の改善を理由に長期残存や施術による痕跡の可能性がなくなったとも言えません。
References
- [1]Why Today's Ephemeral is Fundamentally Different: Introducing Gen 3, a 2024 Formulation. Ephemeral. https://ephemeral.tattoo/blog/company-updates/see-the-latest-improvements-to-ephemeral-ink/
- [2]Temporary-tattoo startup closing studios after customers complain of long-lasting ink. San Francisco Chronicle. https://www.sfchronicle.com/bayarea/article/ephemeral-tattoo-closing-18359832.php
